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2009年11月号 「高考」騒ぎ 番外編③ 評価制度の効用

現在、中国の大学新卒者を採用しても、なかなか仕事の役に立たないという観点は日系企業も含め、多くの企業経営者が持っています。

大きな原因の一つは、大学生の応用能力がないということです。つまり、大学生は知識を持っていても、それを実践に使うことがなかなかできないと一般認識されています。

もちろん、応用能力を育成できなかった大学の責任は大きいですが、大学にその責任全てを被せるのは公平ではありません。応用能力の欠如は大学入学する前にすでに存在しているからです。「高考制度」はその元凶と言えましょう。

小学校から高校まで12年間の勉強は、「高考」に向かったレールに乗っかっていると言っても過言ではありません。そして、その「高考」のテストはどうしても学生たちの「想像力」、「考える力」より「標準回答」を要求します。したがって、大学に入学するまで、「標準回答」を求める「応試教育(試験のための教育)」が主流になっています。

中国の過去の歴史で有名な、人間の考えを固く縛る人材選抜制度として徹底的に批判される「科挙制度」、「八股文」に、現在の「高考」制度が近付いているではないかと筆者が心配しています。

「高考」の弊害は前号まで5回にわたって説明しましたが、人材選抜制度によって選抜された人材が、社会的に適用性が低い結果になっていることは、中国教育制度の本質的な問題です。

中国人ノーベル賞受賞者が過去に8人いますが、その何れもが外国籍であり、中国籍がゼロという現象も同じ理由だとも言われています。

応用力が求められる企業実務では、「標準回答」はほとんどありません。仕事の目的に対する理解力、目的達成に必要な知識力、最適な目的達成に必要な知識選択と想像力、実行力などなどの力が求められる人材の選抜に、「標準回答」を求める「高考」ではなかなかその要求に満たすことができません。その選抜基準に慣れている学生や先生たちは、大学では同様な「応試教育」に熱心です。そのように育成された大学生たちが社会に出たら、自信だけ満々の使えない人材になるのは当然です。

マーケティング知識をペラペラしゃべる大卒新入社員に、簡単な実用的市場開拓レポートを書かせ、プレゼンテーションをさせた場合、満足できる総経理、マーケティング部長は何人いるでしょうか。そのような現象の大きな根源が「高考」という入試制度であることを経営者も認識する価値があると思います。

「高考」という入試制度は、学生に対する過去の学習結果の評価制度です。その評価制度を企業に置き換えると、人事評価制度になります。今まで「高考制度」が社会的必要な人材選抜・育成にとって弊害になっていると分析しましたが、それに相当する企業の人事評価制度が、皆さんの企業経営目標実現に積極的な効果発揮ができているかどうかは疑問です。

表面的にみれば、評価制度は過去の実績を対象にしています。営業マンを例とすれば、今までいくら販売したかによって、成績評価し、それに見合う報酬を与えます。しかし、評価制度の実質は「未来」にどのように働いて欲しいかという意思表示です。同様に、営業マンの例を見てみましょう。

「高い売上に高い報酬」という評価基準を設定すれば、営業マンはもちろん一所懸命販売活動を行いますが、より高い売上を獲得するため割引政策を乱発し、会社に事実上の不利益を与えてしまいます。

だったら、「高い粗利益に高い報酬」という評価基準にします。過度な割引を食い止めましたが、今度接待交際費などの費用(その中の一部は相手へのリベートも考えられます)乱用によって粗利益を実現しようとする動きが表われ、またも会社にとって事実上の不利益を与えます。

では、「高い営業利益に高い報酬」に評価基準を変えよう。過度の費用を収めたが、相手に良い支払条件を与えることによって注文を取ることに一所懸命になり、回収の遅れが目立ち、会社の資金繰りに大問題が発生します。

今度は、「高い報酬に債権回収率も必要」という基準に再度変更する必要が出てきます。

さらに、過去の業績だけでなく業務遂行能力も、評価項目として考えるべきだと思います。

評価基準を変更することによって、営業マンの行動が変わることを上記の事例で十分理解できたと思います。つまり、評価制度は企業の従業員たちの行動を規範・指導する効果が絶大です。

しかし、評価制度を制定していない会社や、何処かから入手したひな形を現状無視で使っている会社も多数あるのも事実です。

最悪なパターンとして、経営理念に反する評価制度を実行している会社まであります。それは、社会の必要な人材と別の基準で人材(学生)評価をしている「高考制度」と何にも変わらないし、その結果は・・・

(皆さんのご想像にお任せします)

SBFニュース

10月例会は、10月24日に実施されました。「初田(上海)国際貿易有限公司」の総経理、藤井祥司さんが幹事を務め、消防の知識を勉強し、普段なかなか体験できない消火器放射実験まで行われました。その報告は近日中に下記のSBFホームページで掲載する予定です。

11月例会は、11月21日(土)に「上海誠鋭実業有限公司」の叶 家胤(筆者)が務める予定です。話題になっている中国の「移転価格税制」について、最も基礎的な内容を勉強する予定です。

ご興味がある方は筆者までお問い合わせください。非会員のご参加も歓迎いたします。

毎年恒例の年末会は、12月5日(土)に開催します。

昨年完成した「上海環球金融センター」にて開催し、勉強会と1年を振返る総会も行なった後、18時半より豪華・盛大に忘年会を開催します。忘年会は、非会員のご参加も歓迎いたしますので、詳しくは筆者までお問合せください。

2003年4月に設立した主に中国(上海)でビジネス活動をする日本人・中国人によって構成される異業種交流会です。

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