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2010年08月号 格式契約書(*1)の罠 その②

不動産売買契約の訴訟事件を例にして、前号では「格式契約書」によるトラブルを紹介しました。

「格式契約書」を提供する側は一般的に独占企業、又は交渉に強い立場に立っている企業であるため、提供される側はどうしても弱い立場に立たされます。しかし、弱い立場とはいえ、何もできないということではありません。しっかりとやるべきことをすれば、強い相手であっても翻弄されることを避けられると確信しています。そのために、以下の「格式契約書」対処法を紹介したいと思います。

まず、契約書をよく「読む」ことです。

契約書、特に「格式契約書」を読まずにサインする方は意外に多い様です。大人として、書類に目も通さずサインすることは騙されてもよいという意思表示と同じですね。特に、社内で「盲判」を捺し慣れている「お偉いさん」は、契約書を確認しない傾向があるのではないでしょうか。社内では部下に騙されないという自信があるでしょうが、他社・他人にもそのような「信頼」を与えても、中国ではアホと思われるだけでしょうね。

「盲判」を論外とすれば、「格式契約書」を読まずにサインする方には、①「格式」だから、読んでも変更させることはできない、②相手から口約束を十分されたので、それに沿った契約書を見る必要がない、という理由が述べられます。

①について、全くの「結果論」であると言わざるをえません。「変えられない」という結果から出発すれば、当然「見る・読む必要がない」という行動に導かれます。そのような理屈を述べる方は、もし「末期癌」という診断を受けたら、治療してもどうせ死ぬから「治療は必要ない」と考えるでしょうか。だから、「交渉ができない」から「契約書を読まない」という言い訳は成立しません。

②の考えを持っている方に筆者は「敬服!」としか言いようがありません。「人を信頼することは美徳である」と言われればその通りです。しかし、その「信頼」はどのように形成されるのでしょうか。

(格式)契約書を読んで、その内容は相手から受けた口頭説明、口約束と同様な内容が書かれていることがしっかり確認できれば、相手は嘘をついていない、信頼できるという結論に達するではありませんか。なぜ「君子」たちは「信頼できるから、見る・読む必要がない」と逆に堂々といえるのでしょうか。「契約書」を読まなければ、当然その内容は「口約束」と同様であるかどうかを確認できません。だったら、なぜ「内容は一緒」、「相手は信頼できる」というような結論に達せるのでしょうね。

会社を代表して相手と契約をする場合、契約書を確認しないままサインしてしまえば、それは職務不履行行為であり、その行為によって会社に損害を与えた場合、背任・汚職まで疑われても仕方がないと言えます。

「盲判」にしても、「変更できない」にして、「信頼できる」にしても、「格式契約書」に対して「放任」という態度を採っていると言えます。それでよいと思う方は次号の「誠鋭時事」を読む必要がございません。しかし、上記の文書を読んでから、例えば強い立場にある取引相手から提供された「格式契約書」であっても、しっかり読むべきであると同感された方がいらっしゃれば、引き続き次回の「誠鋭時事」をぜひご一読ください。

また、たくさんの読者がお分かりの通り、「見る」と「読む」意味は違います。念のために、広辞苑の説明を転載させていただきます。

「見る」とは、目によって認識する。

「読む」とは、文字・文書を見て、意味をといて行く。

本文において、筆者は格式契約書を「見る」だけではなく、「読む」ことを強調したいと思います。

「格式契約書」のリスクをいかに低減させるかの方法は、次回に続きます。

*1 「格式契約書」は一般的に、契約の一方が提供する内容は決まっている契約フォーマットと言い、交渉において立場が強い側が提供する。

つづく

SBFニュース

8月の例会は、8月28日(土)に開催されました。

「上海電音馬蘭士貿易有限公司」総経理の桑原 純さんと同社マーケティング部総経理今井 誠さんのお二人が幹事を務めていただき、会社経営に関する講演以外、一流のAV設備によるデモンストレーションも行っていただきました。
下記のSBFホームページでその例会報告を掲載しますので、ぜひご覧ください。

9月の例会は、9月11日、12日の親睦旅行を予定しています。
常熟と南通へ一泊二日で行きます。非会員のご参加も歓迎しておりますので、ご興味がある方は私までご連絡をいただければ、案内書を送付いたします。

今月も、下記ホームページの内容追加と更新を行いましたので、クリックしてください。

2003年4月に設立した主に中国(上海)でビジネス活動をする日本人・中国人によって構成される異業種交流会です。

SBF(上海ビジネスフォーラム)ホームページ

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