例え立場の強い相手から提供されても、例え何もできなくても、格式契約書含め、契約書を読むことは基本常識であることを前号で説明しました。
中国人がよく使う言葉を借りれば、「死んでも、自分がどうして死んだかが分からなければ悲しすぎる」。いくら格式契約書でも、読めば、どのような不利益をこうむるかその理由も含めて分かります。読めば、自分の死ぬ理由がわかります。しかし、それだけでは「死ぬ」ことを避けられません。
どうすれば死なずに済むのかが、我々は本当に知りたいことですので、その経験を紹介します。
読むことの次は聞くことです。
格式契約書の大部分が分かり難いものです。
提供する側にとって、相手である我々弱者は理解しない方が都合良いので、専門用語とか、複雑な言い回しとかの手法でものすごく分かり難い契約書を提供してきます。その時、面倒くさいな~と思わずにしっかりと分からない内容を聞くことが重要です。
保険などの格式契約書は、契約書提供側の説明が不十分のままで契約をさせられても無効になるという法規はあります。しかし、契約を実現させるため、顧客にとって不利な条文説明を簡単に済ませたり、自分にとって不利な条文を説明する時、言葉を濁したりすることは格式契約書を提供する側によく見られる手口です。
説明しなかったら契約無効になる恐れがありますが、説明義務を果したが相手が理解しないのは罰せられないでしょう。そもそも「説明を聞きながらも、理解しないままでサインする方が悪い」と言われれば、我々弱者の負けです。
したがって、文書でも、説明でも、不明確な部分があれば、理解できるまで説明を求め納得できるまでは、絶対サインしてはなりません。
聞くことによって、契約書の中に自分(自社)にとって何のリスクがあるかを理解し、万が一そのリスクが生じた場合、「軽傷」で済むか、「重傷」になるかを判断して、サインすると「納得」でしょうね。当然、「死ぬ」リスクだったら、もっと真剣に考えるでしょう。最も怖いのは、説明を求めずに勝手に「軽傷」の判断をして、結果は「死んでしまいました」ということですね。残念ながら、そのような方が少なくありません。
説明を聞いて、格式契約書を理解したら、交渉をします。
格式契約書の多くは数枚綴りで印刷されており、どうせ交渉しても変えられないので、理解してリスクを認識したらサインするかどうかの判断のみだと考えている方が多いようです(大体契約するしかないですが)。
それは違います。
格式契約書はあくまでも契約書であり、「平等」という「合同法(契約法)」の大原則に従わなければなりません。つまり、我々弱者も当然交渉の権利があります。
契約書に印刷されている文字は変更できないかもしれませんが、その解釈は必ずしも提供側に一致させる必要はありません。法律上、格式契約書に対する解釈相違があれば、格式契約書を提供される側にとって有利な解釈を認めるという規定があり、自分にとって有利な解釈を強く主張することによって、何らかの譲歩を引き出せる可能性があります。
その譲歩は補充契約、覚書などの形式によって確定できれば、弱者の「勝利」とも言えるでしょう。
現実に筆者は何回かその「勝利」を実現しています。
格式契約書を提供する強い相手から譲歩を引き出す確立は1%と著しく低いのは事実です。しかし、99%失敗だからと最初から諦める人もいれば、1%の成功率があるから頑張ろうよと積極的な人もいます。
個人利益しか絡んでいない格式契約書であれば、諦めてもかまいません。
しかし、会社となれば、例え1%の確率でも、しっかりと立場の強い相手からよい条件を引き出して、会社の利益を守るのが経営者でしょう。
このシリーズ冒頭で紹介した事例において、被害者の消費者は恐らく不動産会社からの格式契約書を「見ざる、聞かざる、交渉せざる」したのでしょうね。幸いなことに、相手の不動産会社は自信過剰で、明らかな違法条文を書いたので、裁判まで持ち込まれましたが、もし不動産会社がもうちょっと「上手に」格式契約書を作成していれば・・・。
「見る、聞く、交渉する」というのは格式契約書だけではなく、すべての契約書、すべて自分がサインする資料に対して採るべき姿勢であり責任です。その責任を全うしなければ、相手に騙されたと言う資格はありません。
多くの方々は自分にとって不利なことが起きると、必ず相手に騙されたと言います。しかし、自分がサインした資料がある以上、相手に騙されたというより、自分の怠慢を責めるべきではないでしょうか。
「騙される方が悪い」というのは、(自称)「性善説」の日本の方々にとって賛成し難いでしょうが・・・。
以上
9月の例会は、9月11日、12日に親睦旅行を行いました。
今年は「常熟・南通ゆったり旅行」です。詳しくは、下記のSBFホームページに旅行記を掲載しますので、ぜひご覧ください。
10月の例会は10月23日(土)に開催される予定です。
「上海マイツ諮詢有限公司 コンサルティング事業部」の高 原先生が幹事を務め、「棚卸について」というテーマで講演をいただく予定です。
非会員の方々も参加歓迎いたしますが、ご希望の方は私までご連絡ください。
今月も、下記ホームページの内容追加と更新を行いましたので、クリックしてください。
2003年4月に設立した主に中国(上海)でビジネス活動をする日本人・中国人によって構成される異業種交流会です。